安全保障輸出管理 その2

2.違反した場合は、罰則 (刑事罰、行政制裁、警告処分) がある事。

善良なる社会の構成員として、国際的な平和及び安全の維持を妨げるような行為を行なったり、そのような行為に加担してはいけないということこそ、安全保障輸出管理を実施する根本的な理由ですが、法令に違反した輸出者にはかなり厳しい罰則規定があります。 罰則規定があるから法令を遵守する、というのでは本末転倒ですが、罰則の内容を記載しておきます。

刑事罰:  5年以下の懲役、若しくは 不正輸出貨物の価格の5倍以下の罰金が科せられることになります。  例えば、1億円の貨物を不正に輸出した場合、罰金は最大で5億円になります。
行政制裁:  3年以下の輸出等の禁止が科せられることがあります。
警告処分:  経済産業省による警告処分が科せられることがあります。
未遂罪:  貨物の不正輸出に対しては、未遂罪も適用されます。
 

3.法令を知らなかったとしても、違反した場合は免責されない事。

安全保障輸出管理の法的根拠は 外国為替及び外国貿易法(外為法) にありますが、外為法や輸出貿易管理令などの法令を知らなかったので、悪意はなかったものの結果として不正輸出を行なってしまったという場合であっても、処罰の対象となってしまいます。 不正輸出はニュースになりやすいので、要注意です。

4.法令上の違反にならない場合でも、社会的制裁を受ける可能性がある事。

輸出を行なっている企業にとっては、この点が最も厳しい制裁となるかも知れません。 貨物を輸出する時点で需要者が大量破壊兵器にその貨物を用いる懸念がなければ、適法にその輸出が行なわれてしまいます。 ところが、その後、その需要者がその貨物を大量破壊兵器の製造に用いてしまい、その事が何らかの理由で報道されてしまい、その貨物の輸出者の社名やブランド名が明らかになってしまったとします。  貨物は適法に輸出されていますから法令上の処罰の対象とはなりません。 しかし、社名やブランド名が明らかになった場合、ブランド・イメージの失墜を招く場合や、社会的・道義的な責任を問われる場合も起こりえます。

このような事態を回避する為にも、適切なる安全保障輸出管理が必要になります。 第2章では、企業の安全保障輸出管理 について記述します。


以下、その3 へ 続く

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